「投資家が『お金』よりも大切にしていること 藤野英人 講談社
2013年発行「ひふみ投信」を運用するファンドマネージャーの著書
お金の先には何があるのか?
お金をどう使うか?
について書かれている。
「投資」と聞くと
株式を買うこと,不動産を買うこと
などと思いがちだが,私たちは,日々,投資を行っているのだ。
赤ちゃんさえも。
赤ちゃんが,いるから,赤ちゃんに対する商品を作る会社がある。
社会は,私たちがお金を使うもの,投資をするもので成り立っている。
最近は,どこの街でも同じような風景が見られる。
スタバにマック,ユニクロ,チェーン店。
それは,みんなが必要としているから。使うから。
もし,その地域特有のお店を残したい,チェーン店よりも純喫茶がいいというなら,そこにお金を使おう。そうなれば,そういう店が残るはずだ。みんなが投資した結果が街に現れている。
ブラック企業は,どうだろうか?
過労死,格安バス会社での疲労による事故。
なんて会社だ!会社が悪い!
と安易になっていないだろうか?私も,そう思っていた。
しかし,そのようなサービスを求める人が多いから,企業も提供するわけだ。
より安全なサービスにしかお金を払わなければ,そのような危険,誰かの無理の上に成り立っているサービスは,なくなっていくはずだ。誰も選ばないから。
ブラック企業を生み出すのは,私たちだ。消費者だ。
格安のサービスであるにも関わらず,非常に高いサービスを求めて横柄な態度に出るのも
よくない。「ブラック消費者」に対応しようとするほど,さらにブラックな企業となってしまう。自分より相手をしたに見てしまうと,怒鳴ったりと横柄な態度になってしまう。
お金持ちや裕福な人,成功者ほど,紳士的な態度なんだそうだ。
お金の向こう側にあるものをわかっているからだろう。
成功者だからそうなるのか,そのような態度だからそうなるのかはわからないが,
誰に対しても,「ありがとう」を心から言える人になりたいし,心がけたいと思う。
よい消費者になりたい。
そうでなければ,ブラックスパイラルが生まれてしまう。
自分の使っているお金について,もっと真面目に考えていかなければならない。
「経済」とは。
「互恵関係」。
私たちの消費活動は,必ず誰かの生産活動につながっている。
まさに,自他不二。
他人と自分とは二つに分けることができない。他人の幸せは,自分の幸せにつながっている。
経済は,economyの語源,ギリシャ語のオイコミアからくる。
オイコノミクスは,共同体の在り方という意味らしい。
そして,「経済」と訳した人は,福沢諭吉が訳したという説が有力なようですが,
元々「経世済民」という言葉からきているそうです。
「世を経め,民を救う」という意味です。
ですから,そのように生きたらみんなが幸せになれるかを考えるのが経済の本質ということです。
消費者の責任。
自分自身の社会を良くするかどうかは,大部分は自分達の行動ということ。
自分たち,一人一人が投資家。
投資とは,エネルギーを投入して,未来からお返しをいただくこと。
投資に必要なのは,人を信じること。
「谷底の神父」の話が面白かったですね。
神様は信じても,人は信じない話。
日本人は,お金は信じて,人は信じない。
未来を信じず,安定を信じる。
なるほど…。と感じずにはいられませんね。
人を信じる。
未来がよいものになるよう,何が大切なのか考える,信じる。
大切ですが,日々の生活の中では,なかなか持てない視点だと思います。
そんな考えに触れられるのが読書のよいところ。
これからもたくさんの著書に触れていきたいと思えた一冊でした。
「いい会社」にだけ投資しているという「鎌倉投信」もチェックしてみたいと思います。
「いい」の意味は,考えてみないといけないですね。